マシューさんと、
アルさんに呼ばれて自宅にお邪魔したら、何故かマシューさんが居た。
…いや、うん。似てるとは思うけど…あれ?アルさんは?
「えっと…マシューさんこんにちは、アルさんは?」
「やあさんこんにちは〜。アルは今アーサーさんの所にちょっかい出しに行ってるよ」
「…あれ?呼び出されたのにな…日付間違えたかな」
確かに呼び出した日付は今日だった筈だ。手帳にもカレンダーにもそう書いてあったし。
おかしいなあ、それともアルさんが間違えちゃったんだろうか。アーサー氏にちょっかい出しに行くなんてよくある事だし…。
それにしても居ないとなるとまた無駄足になってしまう。最近よく理由も無いのに飛行機ふっ飛ばしまくってるなあ。
上司には今のところなにも言われてないから良いけど、燃料代上がったらお給料に響きそうだ…。
「アルの予定はあんまりアテにならないと思うよ…。後は時差じゃないかな?」
「あー…その可能性もありますね。まあ時間があれば明日また来ます…」
「僕も日付とかよく間違えちゃうからねー…お互い頑張ろうね…」
「…はい」
と言うかマシューさんはのんびりし過ぎなだけなのでは…。この前だって気が付いたら二か月経ってたよ!とか言ってたし。
あと何故か喋ってる内に寝ちゃうし…マシューさんなら戦場でものんびり寝てそうな気がするんだけど。
そう思うとなんだかマシューさんってフェリシアーノさんに雰囲気が似ているのかもしれない。のほほんとしてるし。
ただ圧倒的にマシューさんの存在感は薄い。原因は言わずもかなアルさんなんだけれども。
国自体お隣さんだし、アメリカと言う大国の隣だから仕方ないと言えば仕方無いのかもしれないけど…それにしても存在感が薄い。
気が付けば何処かに消えちゃっているらしいし、気が付いて貰えればアルさんと間違われるし…可哀想な人だ…。
私は最近になってマシューさんが何処に居るのか分かるようになったけれど、初めに会った時は正直声を掛けられるまで何処に居るのか分からなかった…。ごめんマシューさん。
「そうだ、さん、ご飯まだでしょ?」
「あ、はい。飛行機ぶっ飛ばしてきたので今日はまだ何も食べてませんね」
「じゃあホットケーキ食べる?丁度作ろうと思ってたんだ」
「マシューさんが良いなら…頂きたいです」
「じゃあちょっと待っててねー」
ぱたぱたとマシューさんがキッチンの方へと掛けていき、私はそれを目で追った。
そしてまた正面を向くと、マシューさんがいつも抱えているクマさんが目に入る。二郎さんだっけ。
なんだかすごくぬいぐるみに見えるけど正真正銘生きてるシロクマらしい。喋るし。
でも全くと言っていいほど動かない。今もじっと私を正面から見つめたままだ。
「…」
「…」
どう対応すれば良いのか分からず、私はじっとクマ二郎さんを見つめ返した。
無言の見つめ合いは気まずいにも程があるし、なにより苦手だ。
なので一分もしない内に深いため息を吐いて私は視線を横に移した。
クマ二郎さんはそんな私をどう思っているのかさっぱり分からないけれど、じっとこちらを見つめ続けている。
その視線が…痛い。凄く痛い。必死に意識をマシューさんの方に持って行くけれど、その分気になってくる。
うう、早くマシューさん戻ってこないかな…凄くクマ二郎さんの視線が気になるんですけど。
「さん、トッピングどうするー?」
「ふあ?」
「バターかアイスか…両方乗せても美味しいよー」
「え?…あー…マシューさんが好きな方で」
「さんそう言うの多いよねー」
あはは、と笑ってマシューさんは冷蔵庫の中を漁っていた。
クマ二郎さんに気を取られていたので一瞬何を聞かれていたか分からなかったけれど、それが直ぐにホットケーキに乗せる物だと気付く。
正直、バターでもアイスでもマシューさんの作るホットケーキは美味しいので乗せるのはどちらでも良い。
自分で作ったホットケーキは一枚食べたらもう十分、と遠慮してしまうけれど、マシューさんのホットケーキは何枚食べても飽きがこない味だ。
やっぱり一から作っている分、美味しさが違うのかな…。私も時間あれば一から作ってみようかな…。
「おまたせ〜。あと飲み物コーヒーしかなかったけど良かったかな?」
「ありがとうです。…コーヒーよりは紅茶派ですがコーヒーも飲めますのでお構いなく」
「さんって紅茶本当に好きだねー」
ことり、とテーブルに置かれた皿にはふっくらした三段重ねのホットケーキが乗せられていた。
トッピングはアイスにマシューさん自慢のメイプルシロップだ。少し溶けたバニラアイスが食欲をそそる。
ふわふわと甘い香りが鼻をくすぐり、空腹だった私のお腹が小さく鳴った。
手を合わせて頂きます、と一言言ってナイフとフォークを握る。
「美味しい?」
「…おいしいです。やっぱりマシューさんが作るホットケーキは美味です」
「そう言ってくれると作った甲斐があったよー」
黙々と甘いホットケーキを口に運び、美味しさを噛みしめる。
自分で作るとこんなに綺麗に焼けないし、厚さもこんなに分厚くない。どうやったら綺麗に焼けるんだろう…。
やっぱり押さえたりするのが悪いのかな?でもこんなに綺麗なキツネ色になった事なんて滅多にないし…。
「マシューさん、ホットケーキ焼くコツって何かあるんですか?」
「え?うーん、僕はそれほど気にはしてないけど…」
「むう…私、自分で作るとこんなに綺麗に焼けないんですよー。やっぱり火とか強いのかな?」
「直ぐに焦げるんだったそれはあるかもね。濡れ布巾でフライパン冷ますと綺麗に焼けるよ〜」
あとはフォークを真ん中に刺したりして焼き具合を見ると良いよ、とマシューさんは自分のホットケーキを頬張った。
その後の話によると、やっぱり押さえるのは良くなかったらしい。何もせずにひっくり返すと自然に膨らむとな。
でもついつい押さえつけちゃうんだよなあ…。中まで焼けてるか心配だし…。
今度マシューさんに焼き方指南してもらおうかしら。一から作るレシピを貰うついでに…、うん、良いかもしれない。
温かいホットケーキに冷たいアイスを絡ませて美味しく頂いていると、マシューさんの隣に座っていたクマ二郎さんが微かに動く。
…そうだ、忘れてた。ホットケーキに夢中になっててじっと見つめられていた事に気が付かなかった。
さっきはあれだけ反応に困っていたのに…恐るべしホットケーキ。
「…ン?ウマイ香リガスル」
「あ、クマ彦さん起きた?」
「誰?」
「マシューだよ!」
このやり取りを何度見た事やら。
いつもクマ二郎さんはマシューさんに開口一番「誰?」と聞く。そしてマシューさんがつっこむ。
名前を覚えて貰えないのは可哀想だけど、ぶっちゃけマシューさんもクマ二郎さんの名前をはっきりと覚えていないのでどっちもどっちだ。
大分長い間居る筈なのにお互い覚えていないとは…マシューさんらしいような、そうでも無いような。
ん?それよりもクマ二郎さんは今の今までもしかして寝ていたのだろうか?
なるほど…道理で私が見つめ返しても反応が無かった訳だ。
と言うかだったら私の今までの気まずい雰囲気はなんだったんだ!こんちくしょう!
でもホットケーキ美味しいから良いや!
…いや、うん。似てるとは思うけど…あれ?アルさんは?
「えっと…マシューさんこんにちは、アルさんは?」
「やあさんこんにちは〜。アルは今アーサーさんの所にちょっかい出しに行ってるよ」
「…あれ?呼び出されたのにな…日付間違えたかな」
確かに呼び出した日付は今日だった筈だ。手帳にもカレンダーにもそう書いてあったし。
おかしいなあ、それともアルさんが間違えちゃったんだろうか。アーサー氏にちょっかい出しに行くなんてよくある事だし…。
それにしても居ないとなるとまた無駄足になってしまう。最近よく理由も無いのに飛行機ふっ飛ばしまくってるなあ。
上司には今のところなにも言われてないから良いけど、燃料代上がったらお給料に響きそうだ…。
「アルの予定はあんまりアテにならないと思うよ…。後は時差じゃないかな?」
「あー…その可能性もありますね。まあ時間があれば明日また来ます…」
「僕も日付とかよく間違えちゃうからねー…お互い頑張ろうね…」
「…はい」
と言うかマシューさんはのんびりし過ぎなだけなのでは…。この前だって気が付いたら二か月経ってたよ!とか言ってたし。
あと何故か喋ってる内に寝ちゃうし…マシューさんなら戦場でものんびり寝てそうな気がするんだけど。
そう思うとなんだかマシューさんってフェリシアーノさんに雰囲気が似ているのかもしれない。のほほんとしてるし。
ただ圧倒的にマシューさんの存在感は薄い。原因は言わずもかなアルさんなんだけれども。
国自体お隣さんだし、アメリカと言う大国の隣だから仕方ないと言えば仕方無いのかもしれないけど…それにしても存在感が薄い。
気が付けば何処かに消えちゃっているらしいし、気が付いて貰えればアルさんと間違われるし…可哀想な人だ…。
私は最近になってマシューさんが何処に居るのか分かるようになったけれど、初めに会った時は正直声を掛けられるまで何処に居るのか分からなかった…。ごめんマシューさん。
「そうだ、さん、ご飯まだでしょ?」
「あ、はい。飛行機ぶっ飛ばしてきたので今日はまだ何も食べてませんね」
「じゃあホットケーキ食べる?丁度作ろうと思ってたんだ」
「マシューさんが良いなら…頂きたいです」
「じゃあちょっと待っててねー」
ぱたぱたとマシューさんがキッチンの方へと掛けていき、私はそれを目で追った。
そしてまた正面を向くと、マシューさんがいつも抱えているクマさんが目に入る。二郎さんだっけ。
なんだかすごくぬいぐるみに見えるけど正真正銘生きてるシロクマらしい。喋るし。
でも全くと言っていいほど動かない。今もじっと私を正面から見つめたままだ。
「…」
「…」
どう対応すれば良いのか分からず、私はじっとクマ二郎さんを見つめ返した。
無言の見つめ合いは気まずいにも程があるし、なにより苦手だ。
なので一分もしない内に深いため息を吐いて私は視線を横に移した。
クマ二郎さんはそんな私をどう思っているのかさっぱり分からないけれど、じっとこちらを見つめ続けている。
その視線が…痛い。凄く痛い。必死に意識をマシューさんの方に持って行くけれど、その分気になってくる。
うう、早くマシューさん戻ってこないかな…凄くクマ二郎さんの視線が気になるんですけど。
「さん、トッピングどうするー?」
「ふあ?」
「バターかアイスか…両方乗せても美味しいよー」
「え?…あー…マシューさんが好きな方で」
「さんそう言うの多いよねー」
あはは、と笑ってマシューさんは冷蔵庫の中を漁っていた。
クマ二郎さんに気を取られていたので一瞬何を聞かれていたか分からなかったけれど、それが直ぐにホットケーキに乗せる物だと気付く。
正直、バターでもアイスでもマシューさんの作るホットケーキは美味しいので乗せるのはどちらでも良い。
自分で作ったホットケーキは一枚食べたらもう十分、と遠慮してしまうけれど、マシューさんのホットケーキは何枚食べても飽きがこない味だ。
やっぱり一から作っている分、美味しさが違うのかな…。私も時間あれば一から作ってみようかな…。
「おまたせ〜。あと飲み物コーヒーしかなかったけど良かったかな?」
「ありがとうです。…コーヒーよりは紅茶派ですがコーヒーも飲めますのでお構いなく」
「さんって紅茶本当に好きだねー」
ことり、とテーブルに置かれた皿にはふっくらした三段重ねのホットケーキが乗せられていた。
トッピングはアイスにマシューさん自慢のメイプルシロップだ。少し溶けたバニラアイスが食欲をそそる。
ふわふわと甘い香りが鼻をくすぐり、空腹だった私のお腹が小さく鳴った。
手を合わせて頂きます、と一言言ってナイフとフォークを握る。
「美味しい?」
「…おいしいです。やっぱりマシューさんが作るホットケーキは美味です」
「そう言ってくれると作った甲斐があったよー」
黙々と甘いホットケーキを口に運び、美味しさを噛みしめる。
自分で作るとこんなに綺麗に焼けないし、厚さもこんなに分厚くない。どうやったら綺麗に焼けるんだろう…。
やっぱり押さえたりするのが悪いのかな?でもこんなに綺麗なキツネ色になった事なんて滅多にないし…。
「マシューさん、ホットケーキ焼くコツって何かあるんですか?」
「え?うーん、僕はそれほど気にはしてないけど…」
「むう…私、自分で作るとこんなに綺麗に焼けないんですよー。やっぱり火とか強いのかな?」
「直ぐに焦げるんだったそれはあるかもね。濡れ布巾でフライパン冷ますと綺麗に焼けるよ〜」
あとはフォークを真ん中に刺したりして焼き具合を見ると良いよ、とマシューさんは自分のホットケーキを頬張った。
その後の話によると、やっぱり押さえるのは良くなかったらしい。何もせずにひっくり返すと自然に膨らむとな。
でもついつい押さえつけちゃうんだよなあ…。中まで焼けてるか心配だし…。
今度マシューさんに焼き方指南してもらおうかしら。一から作るレシピを貰うついでに…、うん、良いかもしれない。
温かいホットケーキに冷たいアイスを絡ませて美味しく頂いていると、マシューさんの隣に座っていたクマ二郎さんが微かに動く。
…そうだ、忘れてた。ホットケーキに夢中になっててじっと見つめられていた事に気が付かなかった。
さっきはあれだけ反応に困っていたのに…恐るべしホットケーキ。
「…ン?ウマイ香リガスル」
「あ、クマ彦さん起きた?」
「誰?」
「マシューだよ!」
このやり取りを何度見た事やら。
いつもクマ二郎さんはマシューさんに開口一番「誰?」と聞く。そしてマシューさんがつっこむ。
名前を覚えて貰えないのは可哀想だけど、ぶっちゃけマシューさんもクマ二郎さんの名前をはっきりと覚えていないのでどっちもどっちだ。
大分長い間居る筈なのにお互い覚えていないとは…マシューさんらしいような、そうでも無いような。
ん?それよりもクマ二郎さんは今の今までもしかして寝ていたのだろうか?
なるほど…道理で私が見つめ返しても反応が無かった訳だ。
と言うかだったら私の今までの気まずい雰囲気はなんだったんだ!こんちくしょう!
でもホットケーキ美味しいから良いや!
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アイス+ホットケーキ+メイプル食べてみたいです。美味しいんだろうなあ…。
[2009.07.12]
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