H*Fから少女Aへ
きょろきょろと動き回っている人に声を掛けたら、ツンデレを発動させてきた。
対応に困ったのでなるべく優しめに話しかけていたら、何故かお友達になっていた。
あれ、なんでだろう。まあいいや。
巷では珍しい殴り魔だけあって、私のキャラに対しての周りの印象は残り易い。
野良パーティ(主に全体チャットで募集しているパーティの事)に入れば殴り魔の存在を広く知って貰える為、募集している職が合っている時はごく偶に参加している。
でもやっぱり回復役と言ってもその系統は魔法なので、事前に物理攻撃をする事を伝えておかないとパーティ内の雰囲気が悪くなったりする。
その時はきっぱりと回復と補助しかしませんって言えばいいだけなんだけれど、それでもちょっと居心地が悪ければ直ぐにパーティを抜ける。
パーティメンバーには迷惑を掛けたくないし、楽しい筈だったゲームがぎすぎすした雰囲気だと楽しむことなど出来はしない。
大抵のパーティは物珍しそうにしながらも喜んで入れてくれるので、その時は殴り魔やってて良かったなぁと思ったりする。
でもやっぱり殴り魔の人口が少ないのは事実なので、私はほんの少しずつだけれど、殴り魔人口を増やすべくとある計画を密かに練っている。
それが―…。
「殴り魔布教活動…ってなんだ?ギルド名か?」
「うーん、将来的にはそうしたいなって思ってます」
内緒チャット(選択した個人にしか表示されない文字のこと)の文字色で話すのは今しがたお友達登録したサモナーの人だ。
Lvは41と私より低かったけれど、純粋火力役であるウィザードの上位職である彼の職業は主に召喚魔法を得意として、Lv50での四次職では選択によっては回復魔法も覚える万能型になる。
そうなれば回復職である私とかお役御免になってしまいそうなのだが、やはり純粋な回復枠と比べると、その威力は劣る。
前にお世話になった菊さんは私の職の上位職のホワイトマジシャンだったけれど、ホワイトマジシャンは回復魔法より攻撃魔法を主に覚える職だ。
反対に攻撃魔法より回復魔法と補助魔法を沢山覚えるのがハイビショップ。私は攻撃魔法より回復魔法を覚えたいので将来はこちらの職になりたいと思ってる。
サモナーの人が覚える回復魔法の威力は、精々頑張っても今の私の職、三次職であるビショップの回復魔法位が限界だと思う。それ以上回復するのであればゲームバランスが崩れてしまうからだ(それでも大分優遇されている職ではある)。
まあ、火力枠の人が回復魔法を覚えたとしてもそれは緊急時に使う物であって常日頃使う魔法ではないんだけども。何故なら攻撃してた方が圧倒的に効率が良いから、だ。
「でも珍しがられてるだけで実際に殴り魔になる奴なんか居ないんだろ?」
「…それを言われると痛いです…」
「まあ育てるのも大変だしな」
そう言ってお友達の人―アーサーさん、は近くにある露店(プレイヤーが出している個人のお店)を覗いていた。
露店には様々なアイテムを出品する事が出来、自分が売りたい値段で売る事が出来る。ただし買ってくれるプレイヤーが居れば、の話だ。
レアアイテムなんかは高い値段で出品しても売れるし、タイムセールなどと称して格安で売る事だって可能だ。
私も気になる装備が売っているかちらちらと回ってみたけれど、どれも高過ぎて手が出せない値段だった。うう、お金足りない。
節約していても到底集められそうにないその金額を見て、いつも仕方なく一ランク下の装備を買ってしまっているのだけど、そろそろ四次転職だし、奮発して良い装備を買いたいと思っている。
菊さんのレア中のレア装備を見てしまった訳だし、私も一度でいいからあんな凄い装備を付けてみたいのだ。出来なければ全ての装備をちょっと良い装備に!
今はまだ武器とアクセサリーだけしかレア装備は持っていないけれど、きっと全身レア装備になったら飛躍的に狩る効率が上がるのだろう。
それまではいらないレアアイテムを売ったりして資金を調達しないといけない。ああ、またソロで地道に狩る日々が続くんだろうな。大変だ。
悶々と脳内で資金調達のスケジュールを立てていると、露店を見終わったアーサーさんのキャラが私の隣にやってくる。
マントを翻しているその姿は如何にも魔法使いの出で立ちだ。でも装備しているのは杖ではなく、剣だった。私がアーサーさんに声を掛けた理由の一つは、それだったりする。
剣と言ってもアーサーさんが装備している剣には魔力のステータスが付いていて、物理攻撃をする剣と言うよりも魔法を使う、魔法剣と言った方が正しいかもしれない(物理攻撃も出来るけど、それに特化した剣よりは攻撃力が劣る)。
それでも物理攻撃力は杖よりもあるので、殴り魔が使用する武器として使う事も可能だ。
で、早とちりして話しかけた、と言う訳です。実際には普通の火力さんだったんですが…、ううう、殴り魔かと思ったのに。
「ああ、そう言えば知り合いに火力だけどたまに殴ってる奴が居るけど紹介してやろうか?」
「えっ…ほ、本当ですか!?」
「ま、純粋な殴り魔じゃあ無いけどな。べ、別にお前の為に紹介してやるんじゃないんだからな…!」
「ああありがとうございます!」
性格なのか、またツンデレのテンプレートを発動させたアーサーさんにお礼を言って顔がにやけるのを両手で押さえる。
まさかこんな所で同士に出会えるかもしれないとは…話しかけて良かった!
ちょっと待ってろ、とアーサーさんは発言してまた私から離れていく。私はそわそわとする気持ちを全面に押し出すようにマウスを動かしてキャラを同じ場所でぐるぐると回らせた。まだかな、まだかな。
画面の外で叫び出したくなるけどそっちはなんとか我慢して、アーサーさんが戻ってくるのを待つ。
「待たせたな、パーティ招待するけど良いか?」
「是非お願いします!」
数分経ってまたさっきと同じ内緒チャットの文字色でアーサーさんが発言すると、すかさず私も返信する。
了承の答えが返ってきて、その直ぐ後にいつものパーティ招待のダイアログが画面の中心に現れる。
アーサーさんのLvと職業が書いてあるそれの下にある参加のボタンを迷いなく押すと、ぱっと画面左にパーティメンバーのステータスが表示された。
【アーサー、イヴァンのパーティに参加しました】
パーティリーダーであるアーサーさんの下に表示されているイヴァンさんと言う方の簡易ステータスにはLv50の文字とダークロードの職業を示す小さなアイコンが付いていた。
Lv50、と言う事は四次職になったばかりなんだろう。ダークロードはアーサーさんと同じ火力枠の四次職だし。
しかし…何と言うか、簡易ステータスを見てびっくりしたんだけれど、私やアーサーさんより三割か四割程MPが高いのはどう言う事なんだろう。
MPが増える装備でもしているのなら納得なんだけど、私とLv2しか違わないのに大分差があると言うか、あり過ぎると言うか。
こんなステータスなのにこの人は殴り魔なんだろうか?アーサーさんは純粋な殴り魔じゃないって言っていたけれど、簡易ステータスを見ただけじゃ分からなかった。
「ふふ、よろしくねー」
「初めまして、よろしくです」
画面端に表示されている小さなマップを頼りにアーサーさんとイヴァンさんが居る場所に向かうと、そこにはふかふかの暖かそうなマフラーを巻いた人が立っていた。
それだけなら普通の装備だな、と思うのに、武器が何故かあの…なんだ、工具?ボルトを締める…なんだっけ、レンチ?だった。なんか…優しそうな雰囲気がしたのにその武器だけで印象がガラっと変わった気がする。
キャラの表情もずっと微笑んでいてなんだか怖い。はっ…いけない、初対面の人に対してその言い方は失礼だ。
幸い口には出したけどチャットには打ってないみたいで良かった。また前みたいに勢いあまって誤爆する訳にはいかない。
ふるふると頭を振っていけない思考を身体の外に追い出して、私はキーボードを叩いた。
「イヴァンさんは敵を殴ったりするんですか?」
「うん、時々するよー。アーサー君に聞いたけどそう言うの殴り魔って言うんだね〜」
「はいです。でも殴り魔の人少なくて…いま同士を探してる所なんです」
「へぇ…おもしろそうだねー」
語尾に笑っている顔文字を付けるイヴァンさんは少し間を置きながらも発言して、その場に座るエモをした。
私もなんとなくその隣に座ると、続いてアーサーさんも座ってくれる。楽しそうに喋ってはいるけれど、座っているのは街の道端で、人の行き来が多い場所なので正直に言うと邪魔…だった。けどイヴァンさんは気にならないのか、走っていく見知らぬキャラを無視して喋っていた。
話に相槌を打ちながらこっそりイヴァンさんにカーソルを合わせて装備を見せてもらう。
武器の名前はやっぱりレンチだったみたいで、魔力よりも物理攻撃力の方が若干高い装備だった。しかもまた菊さんと同じレア装備の文字色だ。
そんなに頻繁に見れる装備じゃないと言うのに、ここ最近は運が良いんだろうか?菊さんにイヴァンさん、数日で二回もレア中のレア装備を見れるとは…びっくりだ。
出来れば自分で装備したい武器なんだけど、まだ装備出来るLvじゃないし、どの敵がドロップするのかも知らない。もしかして自分で作るのかな?
どちらにせよ運が無ければ手に入れる事が出来ないアイテムだ。うん、イヴァンさんの武器を見て俄然やる気が出てきたかも。
「じゃあ今からダンジョン行くか?レア装備出る所の」
「え、良いんですか?」
「僕はいいよー。ダンジョン楽しいし」
「アル連れてくるから行くとしたら50だろうな。それでも良いか?」
「クリア出来るのなら…ご一緒したいです」
Lv50のダンジョンなんて六人のフルパーティでしか行った事が無い。それも必死になって行った覚えがある。
45とはまた敵の数も、強さも違うし、受けるダメージも結構大きい。なので前に行った時は完全に回復役として行ったのだけれど…。
今回は私よりLvの低いアーサーさんも居るし、イヴァンさんだって丁度Lv50。フィールドの敵よりも硬い敵を相手にするのだから、Lvが互角だとしてもきついだろう。
アーサーさんが言った「アル」さんと言うのがどれ位強い人なのかは知らないけど、四人でクリア出来る程、Lv50のダンジョンは甘くないと思うのだけれど…。
そんな心配全くと言っていいほどいらなかったなんて、この時の私は知る由も無い。
対応に困ったのでなるべく優しめに話しかけていたら、何故かお友達になっていた。
あれ、なんでだろう。まあいいや。
巷では珍しい殴り魔だけあって、私のキャラに対しての周りの印象は残り易い。
野良パーティ(主に全体チャットで募集しているパーティの事)に入れば殴り魔の存在を広く知って貰える為、募集している職が合っている時はごく偶に参加している。
でもやっぱり回復役と言ってもその系統は魔法なので、事前に物理攻撃をする事を伝えておかないとパーティ内の雰囲気が悪くなったりする。
その時はきっぱりと回復と補助しかしませんって言えばいいだけなんだけれど、それでもちょっと居心地が悪ければ直ぐにパーティを抜ける。
パーティメンバーには迷惑を掛けたくないし、楽しい筈だったゲームがぎすぎすした雰囲気だと楽しむことなど出来はしない。
大抵のパーティは物珍しそうにしながらも喜んで入れてくれるので、その時は殴り魔やってて良かったなぁと思ったりする。
でもやっぱり殴り魔の人口が少ないのは事実なので、私はほんの少しずつだけれど、殴り魔人口を増やすべくとある計画を密かに練っている。
それが―…。
「殴り魔布教活動…ってなんだ?ギルド名か?」
「うーん、将来的にはそうしたいなって思ってます」
内緒チャット(選択した個人にしか表示されない文字のこと)の文字色で話すのは今しがたお友達登録したサモナーの人だ。
Lvは41と私より低かったけれど、純粋火力役であるウィザードの上位職である彼の職業は主に召喚魔法を得意として、Lv50での四次職では選択によっては回復魔法も覚える万能型になる。
そうなれば回復職である私とかお役御免になってしまいそうなのだが、やはり純粋な回復枠と比べると、その威力は劣る。
前にお世話になった菊さんは私の職の上位職のホワイトマジシャンだったけれど、ホワイトマジシャンは回復魔法より攻撃魔法を主に覚える職だ。
反対に攻撃魔法より回復魔法と補助魔法を沢山覚えるのがハイビショップ。私は攻撃魔法より回復魔法を覚えたいので将来はこちらの職になりたいと思ってる。
サモナーの人が覚える回復魔法の威力は、精々頑張っても今の私の職、三次職であるビショップの回復魔法位が限界だと思う。それ以上回復するのであればゲームバランスが崩れてしまうからだ(それでも大分優遇されている職ではある)。
まあ、火力枠の人が回復魔法を覚えたとしてもそれは緊急時に使う物であって常日頃使う魔法ではないんだけども。何故なら攻撃してた方が圧倒的に効率が良いから、だ。
「でも珍しがられてるだけで実際に殴り魔になる奴なんか居ないんだろ?」
「…それを言われると痛いです…」
「まあ育てるのも大変だしな」
そう言ってお友達の人―アーサーさん、は近くにある露店(プレイヤーが出している個人のお店)を覗いていた。
露店には様々なアイテムを出品する事が出来、自分が売りたい値段で売る事が出来る。ただし買ってくれるプレイヤーが居れば、の話だ。
レアアイテムなんかは高い値段で出品しても売れるし、タイムセールなどと称して格安で売る事だって可能だ。
私も気になる装備が売っているかちらちらと回ってみたけれど、どれも高過ぎて手が出せない値段だった。うう、お金足りない。
節約していても到底集められそうにないその金額を見て、いつも仕方なく一ランク下の装備を買ってしまっているのだけど、そろそろ四次転職だし、奮発して良い装備を買いたいと思っている。
菊さんのレア中のレア装備を見てしまった訳だし、私も一度でいいからあんな凄い装備を付けてみたいのだ。出来なければ全ての装備をちょっと良い装備に!
今はまだ武器とアクセサリーだけしかレア装備は持っていないけれど、きっと全身レア装備になったら飛躍的に狩る効率が上がるのだろう。
それまではいらないレアアイテムを売ったりして資金を調達しないといけない。ああ、またソロで地道に狩る日々が続くんだろうな。大変だ。
悶々と脳内で資金調達のスケジュールを立てていると、露店を見終わったアーサーさんのキャラが私の隣にやってくる。
マントを翻しているその姿は如何にも魔法使いの出で立ちだ。でも装備しているのは杖ではなく、剣だった。私がアーサーさんに声を掛けた理由の一つは、それだったりする。
剣と言ってもアーサーさんが装備している剣には魔力のステータスが付いていて、物理攻撃をする剣と言うよりも魔法を使う、魔法剣と言った方が正しいかもしれない(物理攻撃も出来るけど、それに特化した剣よりは攻撃力が劣る)。
それでも物理攻撃力は杖よりもあるので、殴り魔が使用する武器として使う事も可能だ。
で、早とちりして話しかけた、と言う訳です。実際には普通の火力さんだったんですが…、ううう、殴り魔かと思ったのに。
「ああ、そう言えば知り合いに火力だけどたまに殴ってる奴が居るけど紹介してやろうか?」
「えっ…ほ、本当ですか!?」
「ま、純粋な殴り魔じゃあ無いけどな。べ、別にお前の為に紹介してやるんじゃないんだからな…!」
「ああありがとうございます!」
性格なのか、またツンデレのテンプレートを発動させたアーサーさんにお礼を言って顔がにやけるのを両手で押さえる。
まさかこんな所で同士に出会えるかもしれないとは…話しかけて良かった!
ちょっと待ってろ、とアーサーさんは発言してまた私から離れていく。私はそわそわとする気持ちを全面に押し出すようにマウスを動かしてキャラを同じ場所でぐるぐると回らせた。まだかな、まだかな。
画面の外で叫び出したくなるけどそっちはなんとか我慢して、アーサーさんが戻ってくるのを待つ。
「待たせたな、パーティ招待するけど良いか?」
「是非お願いします!」
数分経ってまたさっきと同じ内緒チャットの文字色でアーサーさんが発言すると、すかさず私も返信する。
了承の答えが返ってきて、その直ぐ後にいつものパーティ招待のダイアログが画面の中心に現れる。
アーサーさんのLvと職業が書いてあるそれの下にある参加のボタンを迷いなく押すと、ぱっと画面左にパーティメンバーのステータスが表示された。
【アーサー、イヴァンのパーティに参加しました】
パーティリーダーであるアーサーさんの下に表示されているイヴァンさんと言う方の簡易ステータスにはLv50の文字とダークロードの職業を示す小さなアイコンが付いていた。
Lv50、と言う事は四次職になったばかりなんだろう。ダークロードはアーサーさんと同じ火力枠の四次職だし。
しかし…何と言うか、簡易ステータスを見てびっくりしたんだけれど、私やアーサーさんより三割か四割程MPが高いのはどう言う事なんだろう。
MPが増える装備でもしているのなら納得なんだけど、私とLv2しか違わないのに大分差があると言うか、あり過ぎると言うか。
こんなステータスなのにこの人は殴り魔なんだろうか?アーサーさんは純粋な殴り魔じゃないって言っていたけれど、簡易ステータスを見ただけじゃ分からなかった。
「ふふ、よろしくねー」
「初めまして、よろしくです」
画面端に表示されている小さなマップを頼りにアーサーさんとイヴァンさんが居る場所に向かうと、そこにはふかふかの暖かそうなマフラーを巻いた人が立っていた。
それだけなら普通の装備だな、と思うのに、武器が何故かあの…なんだ、工具?ボルトを締める…なんだっけ、レンチ?だった。なんか…優しそうな雰囲気がしたのにその武器だけで印象がガラっと変わった気がする。
キャラの表情もずっと微笑んでいてなんだか怖い。はっ…いけない、初対面の人に対してその言い方は失礼だ。
幸い口には出したけどチャットには打ってないみたいで良かった。また前みたいに勢いあまって誤爆する訳にはいかない。
ふるふると頭を振っていけない思考を身体の外に追い出して、私はキーボードを叩いた。
「イヴァンさんは敵を殴ったりするんですか?」
「うん、時々するよー。アーサー君に聞いたけどそう言うの殴り魔って言うんだね〜」
「はいです。でも殴り魔の人少なくて…いま同士を探してる所なんです」
「へぇ…おもしろそうだねー」
語尾に笑っている顔文字を付けるイヴァンさんは少し間を置きながらも発言して、その場に座るエモをした。
私もなんとなくその隣に座ると、続いてアーサーさんも座ってくれる。楽しそうに喋ってはいるけれど、座っているのは街の道端で、人の行き来が多い場所なので正直に言うと邪魔…だった。けどイヴァンさんは気にならないのか、走っていく見知らぬキャラを無視して喋っていた。
話に相槌を打ちながらこっそりイヴァンさんにカーソルを合わせて装備を見せてもらう。
武器の名前はやっぱりレンチだったみたいで、魔力よりも物理攻撃力の方が若干高い装備だった。しかもまた菊さんと同じレア装備の文字色だ。
そんなに頻繁に見れる装備じゃないと言うのに、ここ最近は運が良いんだろうか?菊さんにイヴァンさん、数日で二回もレア中のレア装備を見れるとは…びっくりだ。
出来れば自分で装備したい武器なんだけど、まだ装備出来るLvじゃないし、どの敵がドロップするのかも知らない。もしかして自分で作るのかな?
どちらにせよ運が無ければ手に入れる事が出来ないアイテムだ。うん、イヴァンさんの武器を見て俄然やる気が出てきたかも。
「じゃあ今からダンジョン行くか?レア装備出る所の」
「え、良いんですか?」
「僕はいいよー。ダンジョン楽しいし」
「アル連れてくるから行くとしたら50だろうな。それでも良いか?」
「クリア出来るのなら…ご一緒したいです」
Lv50のダンジョンなんて六人のフルパーティでしか行った事が無い。それも必死になって行った覚えがある。
45とはまた敵の数も、強さも違うし、受けるダメージも結構大きい。なので前に行った時は完全に回復役として行ったのだけれど…。
今回は私よりLvの低いアーサーさんも居るし、イヴァンさんだって丁度Lv50。フィールドの敵よりも硬い敵を相手にするのだから、Lvが互角だとしてもきついだろう。
アーサーさんが言った「アル」さんと言うのがどれ位強い人なのかは知らないけど、四人でクリア出来る程、Lv50のダンジョンは甘くないと思うのだけれど…。
そんな心配全くと言っていいほどいらなかったなんて、この時の私は知る由も無い。
HOME
イヴァンさんは普通に育ててるのにいつの間にかチートになってた。
アーサー氏は直ぐにMP切れるけどイヴァンさんはMP切れなんて経験した事無いです。チートだから。
[2009.12.11]
アーサー氏は直ぐにMP切れるけどイヴァンさんはMP切れなんて経験した事無いです。チートだから。
[2009.12.11]